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西研コラム

〈第12回〉大きなお世話


2017年8月30日

私は毎朝 5 時から、健康のためにウォーキングをしている。家の周辺に自分なりに考えたいくつかのコースを持っていて、その中から当日の朝の気分に合ったところを選んで 10 km ほど歩くのを日課にしているんです。「昨日、呑み過ぎて、頭がボーッとしている」とか、「今日は、ちょっと熱っぽい。風邪かもしれない」などというエクスキューズは許さないというのが、自分に果たしているルールで、雨の日以外は必ず 5 時には家を出る。

 

 

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(ホトトギス)

今の季節で好きなコースは、小さな水路の際の散歩道で、ここにはホトトギスが群生していて、初秋になると花をいっせいに咲かせる。ホトトギスはユリ科の多年草で、杜鵑草と書かれることからも分かるように、鳥の杜鵑(ホトトギス)にちなんで名付けられた。花の内面の濃い赤紫の斑点が杜鵑の胸毛の模様に似ていることによるのだと言われている。

ちょうど今頃(9 月中旬~下旬)が花期なのだが、そのホトトギスの花、今年は見ることが出来なかった。4 月頃、付近の草刈をした人がいて、ホトトギスを含めて何もかも刈り取ってしまった。多年草なので、夏場に再び小さな芽が伸びてはいるが、今年は花を期待するのは無理でしょうね。来年は刈らないでほしいものだが・・・・。

この場合の草刈は、「小さな親切、大きなお世話」の典型ですね。良かれと思ってやったことが的外れで、ほっといて貰ったほうが有難かった。

 

 

似たような話しは、たくさん転がってますね。最近の地球温暖化防止とか節電などにも「小さな親切、大きなお世話」の類がいくつかある。

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(インパチエンス)

昨年、「地球温暖化=炭酸ガス主犯説」がまだ大手を振っていた頃(最近、IPCC のデータ捏造が発覚して、炭酸ガス説が危うくなってきている)、女性の「エコ生活評論家」みたいな人がテレビ に出演していて、次のようなことを言っていた。「園芸植物のインパチエンスは炭酸同化作用が活発で、炭酸ガスをたくさん吸収してくれるから、ぜひこの花を栽培してほしい」と。

地球のために良かれと思って言っているんだろうが、的外れの「大きなお世話」もいいところですよね。なぜなら、この植物には多年草と一年草があるけれど、いずれにしても冬になれば地上部は枯れて土に帰り、分解して炭酸ガスを発生させる。つまり、夏に吸収した炭酸ガスは再び空気中に放出されるから、一年というレンジで考えれば、何の役にもたっていないことは明らかでしょう? それどころか、花を咲かせるために化学肥料を施用することになるから、それを製造するために使っているエネルギーを考えれば、製造過程で排出された炭酸ガスを加算すると、インパチエンス栽培はトータルの炭酸ガス排出を増やしているという結果になると思いますよ。

 

 

政府がやろうとしているエネルギー買取政策も「小さな親切・・・」の傾向がある。
家庭に設置された太陽電池よって発電した電気を、電力会社に買い取らせるというシステムが考えられていますね。しかし、100 V の電力系統はレギュレーションが悪いので、家庭に太陽電池が普及して逆潮流が増えると電圧が上昇してしまうため、105 V を越えると逆潮流を止め、電気を捨てるということになるという。これでは「何のための太陽光発電だ?」と疑問符を付けざるをえない。

しかも、太陽電池による発電コストは高い。経産省の「エネルギー白書」(2008 年)によると、発電コストは、原子力が \ 4.8~6.2/Wh、石油 \ 10.0~17.3、LNG \ 5.8~7.1 に対し、太陽電池は \ 46/Wh だというから、桁違いに高い。

原子力政策を推し進めてきた経産省の言うことだから、原子力発電が有利なようなデータになっているような気がするけれど、それにしても太陽電池発電はコスト高なのは間違いないでしょう。

従って、電力会社は LNG 発電の 7~8 倍という高い電気を買い取ることになるので、そのコストは電気料金の値上げという形で我々に跳ね返ってくる。しかも、上に書いたように、太陽電池が普及すれば、せっかく発電した電気を捨てる事態が来ることは目に見えている。このような政策を「大きなお世話」と言わずになんと言うか?

 

 

多少なりともこのような状況を緩和するにはどうすればよいか? それは捨てる電気を蓄えるシステム、つまり二次電池による蓄電システムを普及させるしかない。これって、電池技術者の我田引水?


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