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西研コラム

〈第34回〉ルールを守ろう


2019年9月11日

この 10 月に私は満で言うと 78 歳を迎える。天馬龍行「続・ジョーク世界一」(アカデミー出版)には次のようなことが書いてあった。

 

 

男の一生は、「少年」「青年」「中年」をすぎたあとは、「お若く見えますね」「いつもお元気ですね」の計五段階に分けられる。

 

 

この意見によれば、私は第四段階にいるということになる。しばしば歳を訊かれるけど、正直に答えると、「えっ! 78 ですか? お若く見えますねえ。どう見ても 76 か 77 くらいにしかみえませんよ」とよく言われるからだ。

でも、天気さえ良ければ毎朝ウォーキングをしているのでいつも元気に過ごしているから、第五段階へと一つ先に進んでしまったのかもしれない。

ただひたすら歩くのではなく、同時に別のことを何かやりながら歩くのがボケ防止なんかには良いと言われている。例えば、右手と左手でじゃんけんをしながら歩くというのを例に挙げる人がいる。

それに似たことをやってるんだというつもりだろうか、ウォーキングしながらスマホをいじっている人がかなりいる。しかし、これだと歩く速度はどうしても遅くなる。健康のためには有酸素運動にすべきだと言われているから、私はいつも速歩にしていて、時速 6 km くらいで歩くというのをルールにしている。スマホをやりながらでは早歩きは無理だから、あれでは運動にならないのでは? 彼らはスマホ依存症なんでしょうね。

池上 彰と佐藤 優の共著、「僕らが毎日やっている最強の読み方」(東洋経済新社)という本で、二人は歩きスマホについて次のように言っている。

 

佐藤 「依存性」もネットの深刻な問題のひとつです。歩きスマホをやめられないのは「ネット依存」「スマホ依存」なわけです。こういった症状は容易にパチンコ依存やアルコール依存、セックス依存に転化します。時間の使い方としては、ものすごく危ない。

池上 逆にいうと、歩きスマホをしないのは、時間の使い方にメリハリがついていることの表れですよ。先日、東京大学で講義をしたとき、同行したテレビ局のプロデューサーが面白いことに気づいたんです。「歩きスマホをしている東大生をひとりも見ない」と。名前は出しませんが、ある大学に行ったときは、ほとんどの学生が歩きスマホをしていたそうです。それから意識して東工大でも観察していますが、大岡山キャンパスでも歩きスマホをいている学生はまず見かけません。

佐藤 そういうメリハリのついた使い方ができないと、一流の大学には合格しないんですよ。

 

ネットには以下のような記事もあった。

 

ハワイのホノルル市で2017年10月25日、道路横断中のスマホのチェックやゲームなどの行為を禁止する条例が施行された。違反すると罰金を科される。いわゆる「歩きスマホ」禁止だ。スマホだけでなく、タブレット、ノートパソコン、ゲーム機器、デジタルカメラも罰則の対象となる。緊急連絡番号(911)は罰金の対象外。「歩きスマホ」による罰金はアメリカの主要都市では初めて。

日本でもこのくらいの規則を作らないとダメなのではないかなあ。でも、作っても規則を守らない人は多いよね。

ウォーキングの話に戻ると、私はウォーキングの時はいつもカメラを持ち歩いている。そうするといろいろな被写体にぶつかって楽しい。

 

 

野原を歩くと、キジに時々出会う。こういう野鳥の姿を見られるなどという機会は都会ではなかなかない。それが叶うのだから、嬉しい限りだ。

面白い生垣のあるお宅の前を通ったこともある。

しかし、いい風景ばかりがあるのではない。イチゴ畑のそばを通りかかったら、こんな掲示があった。「カラスさん、ハトさん イチゴを食べないでと孫が言ってます。楽しみにしているのです」

 

 

これはカラスやハトに言っているのではない。畑からイチゴを盗んでいく悪い奴に言っているのだ。「イチゴを盗らないで」と直言するよりは、ユーモラスでいい表現だと思う。

次の二つの写真は日本人の悪い点を見せつけられたもの。左の写真は、遊歩道に置かれたベンチなのだが、ご覧のように板と板の間の隙間にタバコの吸い殻が沢山押し込まれている。ポイ捨てと何ら変わらない。

 

右の写真も遊歩道で見た光景で、木の小枝の先に空き缶やペット・ボトルを差し込んである。最初見た時は一個だけだったのに、次々と増えていった。真似するやつが多いのだろう。これでは清掃員が片付ける時には却って面倒でしょう。

このように規則を守らない人は実に多い。私も何度か被害を被っている。このコラムにも書いたことがあるけれど、交差点での右折の際のルールを無視した車に撥ねられたことが三度あるし、エスカレーターでは歩いてはいけないのに大きなショルダー・バッグを肩にかけた女性が歩いて昇って行き、その際に金具で肘をこすられてかなりの怪我を負ったこともある。

信号機のない横断歩道の手前には一時停止の標識が道路上に大きく表示されていて、車は一旦停止が道交法で義務付けられている。しかし、これがほとんど守られていない。下表はその実態を都道府県別に調査したもの。

2018年・信号機のない横断歩道における車の一時停止率(JAF調べ)

 

全国的平均値としては、10 台に 1 台がやっと止まってくれるということのようだ。一番悪い栃木では停止するのは 100 台のうち 1 台弱というから、なんのための法律か分からない。長野県では約 6 割が停止してくれるというのに。

 

私がウォーキング中によく立ち寄るコンビニの入口付近には、店内で発生した廃棄物用のごみ箱が幾つか置いてある。それには、「家庭ごみを持ち込んで捨てないで下さい」という注意書きが書いてある。しかし見ていると、車で乗り付けた客に多いのだが、大きなごみ袋を持ってきて捨てている。

 

日本のメディアなどでは、日本は他国に比してルールをきちんと守っているなどと言っているが、こういう風景を見ると、そういう認識は甘いと思う。

 

皆さん! ルールを守りましょう。

 

 

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