〈EHS研究所 コラム57〉EU電池規則と他の製品規制の行方
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〈EHS研究所 コラム57〉EU電池規則と他の製品規制の行方

公開日:2025.12.16

EHS 総合研究所
所長 則武祐二

EU電池規則と他の製品規制の行方

2023年に公示された電池規則は、一部の改訂やオムニバス法案により

一部延期となっており、いつから実施が必要か。また他の製品群はどうなるか。

 

背景

2006年に公示されたEU電池指令は、2023年に公示された電池規則により2025年8月に廃止されました。その後2024年6月に持続可能な製品のエコデザイン要件を設定するための枠組み

(EU 2024/1781)(ESPR(Ecodesign for Sustainable Products Regulation、以下、エコデザイン規則)の公示により一部改訂されました。さらに2025年5月にオムニバス法(Ⅳ)の公表により、電池規則で定められたサプライチェーン・デューデリジェンス(DD)義務等の実施延期が示されました。また、電池規則はEUにおいてグリーンディールやサーキュラー・エコノミー行動計画の目標を反映するもので、他の製品規制に繋がるものです。他製品のデジタルパスポートに関する動向も簡単に示します。

 

電池規則について

指令(directive)と規則(Regulation)の違いは、指令はEU加盟国がそれぞれの国において法制化が必要ですが、規則は国内法は不要で企業等も守ることが必要です。改正についても同様に扱われます。規則そのものが改正されるのではなく、別にEU議会と理事会規則により部分的に改正されることもあります。改正の状況を次に示します。

 
①エコデザイン規則による電池規則の改訂

エコデザイン規則の制定により電池規則はエコデザイン規則に統合・改訂されるとの情報がありましたが、実際は電池規則の第77条に、「バッテリーを市場に投⼊し、または使⽤を開始する経済事業者は、欧州議会および理事会規則(EU)2024/1726第13条(1)に規定するレジストリに固有の識別⼦をアップロードしなければならない。」が追加されただけでした。

 

②オムニバス法(Ⅳ)による電池規則の一部延期

「オムニバスパッケージ」は、規制および行政や中小企業の負荷を軽減するために、2029年までに規則を簡素化し、企業の行政負担を削減することを目指して、各種法規制の簡素化やデジタル化を図るために順次公表されています。その第4弾としてRoHS指令や電池規則等の製品関連規制等を対象としたオムニバス法(IV)が2025年5月に公表されました。

結果、電池規則の要求事項は表1のように適応開始時期が決められました。

 

表1. 電池規則の主な要求事項と適応開始時期

概要 適応開始時期
第7条 製品カーボンフットプリント(CFP: Carbon Footprint of Products) ライフサイクル各段階のGHG排出量の算定・申告 2025年2月18日
ただし、方法論を定める委任法の制定後に開始
第8条 リサイクル材料の含有率 使用するリサイクル材料の含有率の確保、廃電池の回収等 2028年8月18日
第39、48条 サプライヤの情報提供義務、デューデリジェンス(DD) ・責任ある原材料調達として、調達先の環境汚染、人権侵害等のリスク情報の第3社認証と開示
・上記のためにサプライヤは情報提供義務
2027年8月18日
(ガイド公開予定)
第13、77、78条 ラベル、デジタル登録、バッテリパスポート(DPP) モデル名、原材料、CFP等に関する情報のデジタルパスポートへの登録とラベル表示 2027年2月18日

 
電池に関するCFP開始時期の改定はありませんでした。ただ、別途定めることになっているCFPの方法論を示した委任法の制定が遅れており、その制定後に適応となるようです。委任法案に対しては日本からの15件も含めて様々な国から127件もの意見が出されています。CFPの算出方法は企業のビジネスにも影響するため、図のように企業、業界団体からの意見が多く寄せられており、決定に時間を要していると思われます。

 

図 EV電池CFPの委任法に対する意見提出者のカテゴリー別数

出典 EU委員会webサイト Batteries for electric vehicles – carbon footprint methodology

 
 
エコデザイン規則について

エコデザイン規則では多くの製品が対象となり、デジタル製品パスポートに、表2のことを登録・開示しなければなりません。

 

表2.デジタルパスポートの主な要件

材料構成 原材料の種類・比率、リサイクル材の含有率、有害物質の存在
環境関連データ カーボンフットプリント、使用時のエネルギー消費、耐用年数や修理可能性
製造過程情報 原材料のサプライチェーン、製造地・加工プロセス
使用後情報 修理マニュアル、分解手順、リサイクル・回収方法

 
対象となる製品と時期に関しては、2025年4月に「持続可能な製品のためのエコデザインとエネルギーラベルに関する作業計画2025‑2030」が公表されています。

 

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