ISO14001の改定の影響は?
ISO14001「環境マネジメントシステム」の改訂版が発行され、猶予期間はありますが、対応を進める必要があります。
認証を取得している組織も、環境マネジメントシステムで本来目指すべき取り組みを進める機会となるでしょう。
背景
ISO14001「環境マネジメントシステム」は1996年に初版が発行されました。筆者の勤務していた組織が、正式発行の前の1995年に日本の認証機関で最初の認証を取得してから、30年になります。日本では現在も2万以上の組織が認証を取得しています。
2026年4月15日に改訂版のISO14001:2026 が正式に発行されました。認証取得済みの組織にとっては3年間の猶予期間がありますが、今回の改訂は気候変動等の環境問題を環境負荷低減だけでなく、経営上の機会でもあることを認識して行動するという社会からの要請に合致したものです。是非、今回の改訂を前向きに捉え、経営に活かせるようマネジメントシステムを改革するチャンスだと考えられます。
改定のポイント
①計画に関して
環境マネジメントシステムの計画設定において、次のことが示されています。
・ライフサイクルの視点(LCP)を考慮すること。
・具体的な取り組みとして、天然資源の保全または保護、持続可能な資源利⽤、気候変動の緩和と適応、⽣物多様性と⽣態系の保護などが含まれること。
・リスクと機会を明確にし、それに対する計画を策定・実施すること。
②サプライヤーに関して
サプライヤーに関するものとして、「環境マネジメントシステムの意図する成果に関連する外部提供のプロセス、製品、またはサービスが管理または影響を受けることを確保しなけ ればならない」と記されています。
また、関連する環境要件を、請負業者を含む外部の供給業者に伝えなければならないことも記されています。
③マネジメントレビューに関して
マネジメントレビーにおいて、『リスクと機会』の変化についてはインプットとして含めなければならないもの(shall include)のひとつとして明記されました。
改定点と社会からの要請との整合
前述した改定のポイントは、最近の社会イニシアチブの内容が反映されています。その関連性に関して簡単に紹介します。
①スコープ3排出量削減への取り組み
GHGプロトコルやSBTiで求められるスコープ3排出量の削減は、今回の改訂のポイントに示しましたサプライヤーに関するところと密接に関わります。スコープ3排出量の削減を環境マネジメントシステムの中で適切に管理し進めることが望ましいでしょう。
②ISSB基準によるリスクと機会およびガバナンスプロセス
ISSB基準では、「気候変動関連のリスクと機会を監視、管理、監督するために使⽤されるガバナンスプロセス、統制、⼿順を理解できるように情報を開⽰」が示されています。環境マネジメントシステムの改定に合わせ、ISSB基準への整合を進めることが求められます。
まとめ
前述したようにISO14001の改定版への適合と合わせて、SBTiやISSB基準等の社会からの要請に対しても適切に取り込むことが望まれます。環境マネジメントシステムを環境部門が中心進めていた組織は、ISSB基準などが求めるように経営者が中心となって経営ツールとして環境マネジメントシステムに取り組む良い機会です。
[i] ISO 14001:2026 環境マネジメントシステム-要求事項及び利用の手引 | 日本規格協会
[ii] ISSB基準:ISSB(国際サステナビリティ基準審議会)によるサステナビリティ情報開示基準で、
2023年に解散したTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言の後継基準
