EHS総合研究所

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〈EHS研究所 コラム19〉「LCAの実施目的と手法・ツール等の変化」


2022年9月8日

EHS 総合研究所
所長 則武祐二

LCAの実施目的と手法・ツール等の変化

ライフサイクルアセスメント(LCA)を何のために行うのか。手法・ツールやサービスも変化。

 

 

背景

LCAはSETAC(Society of Environmental Toxicology and Chemistry(環境毒性化学学会)が米国で1979年に設立され、その中で検討が進みました。SETACの名前が示す通り、化学物質の環境毒性の検討が始まりで、ライフサイクル全体を通して、化学物質の環境への影響を評価するものでした。筆者も80年代初めに製品に使用される化学物質の禁止や代替を検討する中でLCAを検討しました。1997年にLCAに関してのISO規格が制定されていますが、日本ではLCAがライフサイクルCO2に限定されて使われることが多いと思います。LCAに関して、最近の利用目的と手法・ツールについて述べたいと思います。

 

 

LCAの目的について

ISO14040は翻訳JISがJIS Q 14040「環境マネジメント−ライフサイクルアセスメント−原則及び枠組み」[i]として発行されています。LCA調査は次の4段階で進めるとされています。

 

a)目的及び調査範囲の設定の段階

b)インベントリ分析の段階

c)影響評価の段階

d)解釈の段階

 

今回のテーマのひとつである目的によって、それ以降が異なってきます。インベントリ分析の中のデータ収集や算出方法にも影響します。従って利用するツールの選択にも影響します。

 

以前は、実施する行動が、以前の行動と比べて環境にどの程度良いのかを確認することが多かったと思います。ほとんどの場合が「比較」でした。結果の開示については、それほど大きな目的ではありませんでした。しかし最近は、製品・サービスの顧客から開示を求められることが多くなり、「比較」に関しては、目的の主ではなくなってきています。

 

目的として、「比較」、「開示」以外に「環境影響項目」は何にするかがあります。目的として地球温暖化だけを対象とするのか、他の影響までを確認するのかが挙げられます。この点では、日本では以前も現在も、地球温暖化だけを対象とされることが多いと思います。ただし、海外では複数の影響領域(マルチクライテリア)を望まれる場合があり、日本でもタイプⅢ環境ラベルである「エコリーフ」[ii]などで対応されています。

 

増加している顧客や社会からの要請に応じてLCAを行う場合は、目的設定において、どのような開示、どのような環境影響項目が望まれているかを明確にしておくことが重要です。

 

もう一点、自分のどのような活動を評価してもらいたいのかを考えるのも重要です。例えば、リサイクル等の資源循環の取組を評価してもらいたいなら、あらかじめ目的に加えるのが望ましいでしょう。

 

 

LCAの手法とツールの変化

前述したように目的の「比較」、「開示」、「環境影響項目」、「評価したい活動」を明確にし、手法やツールを選択します。次に「開示」と「算出」に関する手法について例を示します。

 

 

LCA結果の開示

LCA結果を開示する際に、次のような方法があります。

・顧客に提出する。

・製品の包装に記載する。

・製品・サービスのパンフレット等に記載する。

・自社webサイト等に公開する。

・第3者のサイトで公開する。

などがあります。

 

第3者のサイトでの公開では、公開データの信頼性を高めることにも役立つ場合があります。前述しました「エコリーフ」もその一つです。同じく「一般社団法人サステナブル経営推進機構」[i]の「CFP」制度などもあります。

 

第3者サイトは、データ算出についてガイドや、利用可能な原単位が用意されていたりします。ただし、「評価したい活動」がある場合は、その活動が評価されるかを確認する必要があります。例えば、再生材料の活用を進める場合など、再生材料が評価されるようなガイドや原単位となっているかを確認することが必要でしょう。

 

 

LCAのツール

以前は、様々なデータベースからデータを収集し、算出することが主体でしたが、現在は、LCAを実施する際に利用可能なツールは発展してきており、下記のようなものがあります。

 

①MiLCA(みるか)[i](一般社団法人サステナブル経営推進機構)

LCAの実施を支援するためのソフトウェア。プロセスデータを管理し、LCAケーススタディを実施するまでの基本的な機能が搭載されています。また、3800以上のプロセスデータを標準搭載することで、より簡易にLCAができるようになっています。

 

②LCI(ライフサイクルインベントリ)データベース IDEA(いであ)[i] (一般社団法人サステナブル経営推進機構)

国立研究開発法人産業技術総合研究所が開発したもの。約4,700種類の農・林・水産物、工業製品等の日本の全ての製品・サービスの環境負荷物質(CO2をはじめ、NOx、SOx,PM2.5、ヒ素、カドミウム、クロム、鉛などの化学物質の排出、鉄や銅などの資源消費)を定量できるデータベースです。また、原単位あたりの環境負荷量の数値を提供するだけでなく、各製品の製造プロセスの入出データが提供される。

 

③予備的LCA[i](一般社団法人サステイナビリティ技術設計機構)

LCAを取り組んでみようとLCAの専門家に相談する前に、自分たちの手持ちデータでLCAらしきものをやってみて、どのような結果が出てきそうなのかを把握しておくためのツール。

 

 

他にも色々なものがあります。目的に対して適したものかを評価して活用されると良いでしょう。

 

 

 

[i] JISQ14040:2010 環境マネジメント-ライフサイクルアセスメント-原則及び枠組み (kikakurui.com)

[ii] 環境ラベルプログラム|一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO :さんぽ)

[iii] 組織概要|一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO :さんぽ)

[iv] LCAソフトウェア│MiLCA (milca-milca.net)

[v] LCIデータベースIDEA|一般社団法人サステナブル経営推進機構(SuMPO :さんぽ)

[vi] 予備的LCAをやってみよう (sdgoods.net)

 

 

 

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