EHS総合研究所

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〈EHS研究所 コラム28〉「G7広島サミットでの環境問題の取り扱い」


2023年6月6日

EHS 総合研究所
所長 則武祐二

G7広島サミットでの環境問題の取り扱い

G7広島サミットではウクライナやインド太平洋問題などに目が行きがちでした。

気候変動や資源問題は、どのように取り扱われたのでしょうか。

 

 

背景

G7広島サミットは5月19日から21日まで行われました。多くのマスコミの論調は気候変動等に関しては大きな前進はなかったとされています。

通常であれば首脳コミュニケ(宣言)[i]が最終日に出され、その文書にサミットの決定が集約されるのでしょうが、今サミットでは首脳コミュニケが最終日ではなく、中日の20日に発出されました。外務省が5月26日に公表したG7広島サミット(概要)[ii]と首脳コミュニケの内容は大きく異なります。

 

概要は日本政府の立場で議論されたことをまとめたものですので、内容が異なることは、当然だと思います。

環境に関しては、20日に行われたセッション7「持続可能な世界に向けた共通の努力」で議論されています。首脳コミュニケには、<世界経済・金融・持続可能な開発><気候><環境><エネルギー><クリーン・エネルギー経済><経済的強靱性・経済安全保障>のところに、気候変動や資源に関して記載されています。

 

 

 

G7広島サミット(概要)での環境の扱い

前述したように、日本政府の立場で議論されたことをまとめたものです。セッション7「持続可能な世界に向けた共通の努力」には、岸田総理の発言により、議論の結果、次の共通認識を得たとされています。

 

(1)第一に、持続可能な世界を目指し、気候変動、生物多様性、汚染といった課題に一体的に取り組む必要があること。

(2)第三に、エネルギー安全保障、気候危機、地政学リスクを一体的に捉え、再エネや省エネの活用を最大限導入しつつ、経済成長を阻害しないよう、各国の事情に応じ、あらゆる技術やエネルギー源を活用する多様な道筋の下で、ネット・ゼロという共通のゴールを目指すこと。

(3)第四に、クリーン・エネルギー移行に不可欠なクリーン・エネルギー機器及び重要鉱物のサプライチェーンの強靱化の必要性。これらの点については、今後、国際エネルギー機関(IEA)から専門的・客観的な知見が提供されることへの期待が示された。

(4)第五に、気候資金の動員が極めて重要であり、気候変動に脆弱な国や人々が取り残されないような支援が必要であること。

(5)第六に、環境問題に関して、プラスチック汚染対策、生物多様性保全、森林対策、海洋汚染などの具体的な取組を進めていくための連携強化。

 

G7広島首脳コミュニケでの気候変動と資源問題等の扱い

これについては前述したように、通常は最終日に発出されるものが、環境に関しての最終日の議論が行われる前日に発出されました。

そのことでも判るように、議論の前に、事前閣僚会合も含めて、事前にすり合わせが行われ、その結果が示されたものです。石炭発電の全廃時期は記載されていませんが、細かな点では本当に日本政府は進められるのだろうかというものも含められています。下記に、そのいくつかの記載を示します。

・炭素市場及び炭素の価格付けが、炭素の価格付けのための政策手段の最適な活用を通じ、費用効率の高い排出レベルの削減を促進し、イノベーションを推進し、ネット・ゼロへの転換を可能にする重要な役割を有することを再確認する。

・民間事業者が信頼できるネット・ゼロ・プレッジ及び透明性のある実施戦略を通じて、バリューチェーン全体におけるGHGネット・ゼロ排出にコミットすることを奨励する。

・2035年まで又は2035年以降に小型車の新車販売の100%又は大宗を排出ゼロ車両にすること、2035年までに乗用車の新車販売の100%を電動車とすること。

・ステークホルダー、特に企業に対し、そうした行動を強化することを奨励する。したがって、我々は、循環経済・資源効率性原則(CEREP)を支持する。我々は、サプライチェーンにおける循環性を高めつつ、国内及び国際的な重要鉱物や原材料、その他の適用可能な原料の環境上適正で、持続可能かつ効率的な回収・リサイクルを増やす。

・パートナーと共に、遅くとも2050年までにネット・ゼロ排出を達成し、気温上昇を摂氏1.5度に抑えることを射程に入れ続けるために、再生可能エネルギーのグローバルな利用拡大を含め、エネルギー安全保障、気候危機、地政学的リスクに一体的に取り組むことを模索する。

・再生可能エネルギーの導入や次世代技術の開発・実装を大幅に加速させる必要がある。G7は、2030年までに洋上風力の容量を各国の既存目標に基づき合計で150GW増加させ、太陽光発電の容量を、各国の既存目標や政策措置の手段を通じて、IEAや国際再生可能エネルギー機関(IRENA)で推計された2030年までに合計で1TW以上に増加させることも含め、再生可能エネルギーの世界的な導入拡大及びコスト引下げに貢献する。

・非効率な化石燃料補助金を2025年又はそれ以前に廃止するというコミットメントを再確認し、全ての国々に同様に取り組むよう従前呼びかけたことを再確認する。

・G7気候・エネルギー・環境大臣が採択した「重要鉱物セキュリティのための5ポイントプラン」[i]を歓迎し、同計画を実施するよう同大臣に指示する。

どのように議論されたかはさておき、首脳コミュニケに記載されたことが、すべて実施されることを期待します。

[ⅰ] G7広島首脳コミュニケ(外務省仮訳)100507034.pdf (mofa.go.jp)

[ⅱ] G7広島サミット(概要)|外務省 (mofa.go.jp)

[ⅲ] 重要鉱物セキュリティのための 5 ポイントプラン(仮訳)000129591.pdf (env.go.jp)

 

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